LMSとタレントマネジメントシステムの連携とは

リスキリングは、企業が社員のスキルを再構築し、新しい業務やポジションを担えるようにすることを目指しています。単なる研修やスキル習得だけにとどまらず、実際の業務に新たなスキルを活かし、組織の変化に即応するための持続的なプロセスです。リスキリングの本質は、人材育成(研修)と人材配置を連動させることにあります。

① リスキリングのゴールとは?

リスキリングのゴールは、社員が単なるスキルの習得にとどまらず、その後の人材配置や業務へ活用できるようにすることです。研修で得たスキルが実際の業務にどのように活かされ、どのようなポジションや役割に変化をもたらすかを具体的に考える必要があります。このためには、研修と実務を連動させる仕組みが欠かせません。その仕組みとして、社員のスキルの可視化が実現し、人材配置や育成の精度が向上するタレントマネジメントシステムとLMSの連携が注目されています。

①:社員情報(現在の役割=役職・等級など)をタレントマネジメントシステムからLMSへ連携
②:現在の役割から新たな業務・役割を担うための「人材育成、および習得した『スキル』の付与」をLMSで実施
③:付与した「スキル」データをLMSからタレントマネジメントシステムへ連携
④:タレントマネジメントシステムで受け取った「スキル」データを社員の人材配置(異動、昇格など)に活用(①の更新)
→①~④の繰り返し

リスキリングの成功には、新たに習得したスキルを適切に評価し、それに基づいて社員を新しい業務や役割に配置することが必要です。これにより、リスキリングが「研修止まり」ではなく、社員の新たなスキルが即座に業務に反映され、企業の事業・組織へ反映できるようになります。

② LMS(学習管理システム)とは

学習管理システムは、LMS(ラーニングマネジメントシステム)と呼ばれ、企業や組織が行う人材育成を一元的に管理・実施するためのシステムです。別名ラーニングプラットフォームやラーニングソリューションとも呼ばれ、eラーニングや集合研修、レポート提出などを組み合わせた多様な研修プログラムを設計し、個々の社員の学習進捗や成果を追跡、管理します。

また、最近では、習得したスキルの管理や評価も可能な新たなLMSが登場しています。
これにより、タレントマネジメントシステムがなくても、LMSでスキルを管理し、人材配置に活用することが可能です。ただし、タレントマネジメントシステムと連携しない分、人材配置に関して手間は増える傾向にあります。

③ タレントマネジメントシステムとは

タレントマネジメントシステムは、組織が人材管理を効率化し、戦略的に人材を活用するためのソフトウェアシステムです。社員の採用、育成、評価、配置など、タレント(人材)に関する情報を一元管理し、採用から退職までのすべてのプロセスを支援します。組織はこれにより、適切な人材を見つけ、戦略的に配置し、人材資産を最大限に活用することができます。

タレントマネジメントシステムの普及状況

「企業IT動向調査報告書」によると、タレントマネジメントシステムの導入はここ数年で大幅に進展しており、特に人材戦略が企業の競争力に直結するという認識の高まりから、多くの企業で採用が進んでいます。2022年から2024年までのタレントマネジメントの導入推移を見てみると、売上高規模を問わず多くの企業で堅調に導入が進んでいることがわかります。

引用元:企業IT動向調査報告書2024 p.207

※図は上記の記事を元に作成

LMSとタレントマネジメントシステムの
具体的な連携イメージ

タレントマネジメントシステムと学習管理システム(LMS)を連携させることで、より効果的な人材育成と人材配置が実現できます。ここでは、両システムを活用して具体的になにを推進すればよいのかを見ていきます。

参照元:LOGOSWARE Xe – https://xe.logosware.com/

タレントマネジメントシステムで実施すること

タレントマネジメントシステムで実施すること

重要な必須機能

① 社員データの管理/連携

タレントマネジメントシステムで社員を適切に配置するためには、社員データを管理するだけでなく、学習管理システム(LMS)に連携させることが欠かせません。社員データをLMSに連携させることで、両システムで同じデータを二重に管理する手間を省き、効率的な運用が可能になります。

② ポジション要件の管理

タレントマネジメントシステムにおいてポジションに必要な条件を明確にすることで、①の社員を適切に配置するための基準ができます。リスキリングを通じて社員が目指すべきポジションや、そのポジションに必要なスキルや経験を管理することが重要です。

メリット

  • 社員向け:人材育成の目標が明確になり、モチベーションがアップします。リスキリングの際に学ぶべき内容や目指すべきスキルが明確になります。
  • 人事向け:埋もれていた人材を発掘でき、スキルに基づいて誰でもキャリアアップできることを示せます。また、スキルを基準にした透明性の高い人事配置が可能になります。これにより、経験や直感に頼らないスキルベースの人材配置ができます。

③ 保有スキルの管理

ポジション要件を満たすために、社員がどの程度のスキルを持っているか、いわゆるスキルセットを把握する必要があります。タレントマネジメントシステムで社員一人ひとりのスキルセットを管理し、LMSから獲得したスキルデータを取り込むことが重要です。

④ スキルベースでの人材配置

社員のスキルセットに基づいて、ポジションに合う社員を選び出します。ポジション要件で定義されたスキルセットを持つ社員を抽出したり、社員のスキルがポジションの要件とどの程度一致するかを測定します。また、候補者のスキルセットを比較し、新たなポジションに最適な配置を行います。

注意点

すべてのタレントマネジメントシステムがこの①~④の機能を備えているわけではありません。
タレントマネジメントシステム導入時には、以下の機能を確認しましょう。

  • 例1:一般的な人事情報に加えて、社員のスキルも管理できるか
  • 例2:スキル情報および、スキルを人材配置の基準として活用できるか

あったらより便利な機能

スキル別教育体系管理

各スキルを習得するために必要な研修内容を一覧で管理する機能があればさらによいでしょう。
具体的な研修の内容や教材自体は学習管理システム(LMS)で管理されますが、スキルごとに必要な研修の概要を把握できると便利です。

社員のキャリアプラン

社員が目指しているキャリアやポジションを管理する機能です。
これにより、社員は自分のキャリアプランが見える化され、どのスキルを習得すべきか、どの研修を選ぶべきかが分かりやすくなります。

LMSで実施すること

① スキル判定・付与

従来の学習管理システム(LMS)は、受講履歴を管理するだけのもので、多くの場合はコンプライアンス研修の完了確認に使われていました。しかし、受講履歴だけでは社員が本当にスキルを身につけたかどうかはわかりません。

リスキリングでは、新しい仕事に必要なスキルをしっかりと身につけているかを管理できるLMSが必要です。さらに、社員が習得したスキルのデータをタレントマネジメントシステムに連携できることも重要です。

例えば、「LOGOSWARE Xe」は社内ライセンスの仕組みで、社員がどのスキルを身につけたかを管理できます。スキルの付与は管理者が承認するため、無秩序に発行されることはなく、社内で正式なスキルとして認可されます。また、スキルの付与条件に、LOGOSWARE Xe以外の学習や実践、外部資格の取得を考慮に入れることも可能です。

LOGOSWARE Xeで発行されたスキルデータはタレントマネジメントシステムに連携できます。例えば、カオナビとの連携により、スキルの管理から人材育成、人材配置まで一貫して行うことが可能です。この連携により、効果的な人材育成と戦略的な人材配置が実現します。

参照元:LOGOSWARE Xe – https://xe.logosware.com/

② 実践的な学びの設計・実施

スキルを身につけるには、教材を見て学ぶ、インプットだけでは不十分です。議論や話し合い、実際にアウトプットする経験が必要です。

従来の学習管理システム(LMS)はeラーニングに重点を置き、主にコンプライアンス研修で「見て覚える」ことが中心でした。しかし、リスキリングが求められる現在の人材育成には、応用力や実践力を養う研修が求められます。

例えば、「LOGOSWARE Xe」を使えば、実践的な学びを提供する「ブレンデッド研修」が可能です。LOGOSWARE Xeでは、eラーニングによるインプット、集合研修での議論・話し合い、レポートやテストでのアウトプットを組み合わせた研修を設計し、実施、管理できます。これにより、インプットした情報を単なる知識にとどめず、実際に使える知恵へと発展させることができ、社員に対して、効率的かつ実践的な学びを提供することができます。

参照元:LOGOSWARE Xe – https://xe.logosware.com/

まとめ:LMSとタレントマネジメントシステムの
連携がもたらす成果

以上のように、タレントマネジメントと学習管理システム(LMS)の連携は、企業にとって大きな効果をもたらします。特に、真のリスキリングを実現するためには、教育と人材配置のPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルが円滑に回ることが不可欠です。これは、企業が変化する市場のニーズに対応し、競争力を維持するために重要です。

タレントマネジメントシステムに求められる機能

  1. 社員データの管理/連携
    個々の社員のスキルや経験、評価などのデータを一元管理し、LMSと連携することで、学習成果を人材配置に反映させやすくします。
  2. ポジション要件の管理
    各ポジションに必要なスキルや経験を明確にし、それに基づいて適切な人材を配置するための基盤を提供します。
  3. 保有スキルの管理
    社員が現在保有しているスキルを把握し、必要に応じてスキルギャップを埋めるための教育プランを策定します。
  4. スキルベースでの人材配置
    実際のスキルに基づいて最適な人材配置を行い、企業の目標達成に向けた効率的なチーム編成を可能にします。

LMSに求められる機能

  1. スキル判定・付与
    学習の進捗や成果を評価し、習得したスキルを明確にします。これにより、社員の成長を可視化し、タレントマネジメントシステムと連携して適切な人材配置をサポートします。
  2. 実践的な学びの設計・実施
    理論だけでなく、実践に基づいた学習プログラムを提供することで、社員が即戦力として活躍できるようにします。

LOGOSWARE Xeは、これらの要件を満たし、タレントマネジメントシステム(例:カオナビ)とデータ連携することで、企業の教育と人材配置のPDCAサイクルを強力に支援します。

変化の激しいビジネス環境において、迅速かつ柔軟に対応するためには、LOGOSWARE Xeのような統合的なシステムの活用が不可欠です。LOGOSWARE Xeは、企業の成長と発展を強力にサポートします。

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